むだなものを愛しつづけられる人間でありたい

たとえば誰かに手紙を書くように、何気ない出来事を綴るとしたら。

「かるさ」という、うつくしさ

読書感想文。
「日本人は何を考えてきたのか/著:齋藤孝

○どんな本
日本の思想1300年の歴史を眺めて、私たちが今どのような状況にいるのかを確認するための本。

「精神の柱」とは、心を支える基盤、日本人が伝統として持っていたもの。
日本人の先人の「精神の柱」を知ることで、日々の心のあり方を安定させるきっかけにする。
「精神の柱」を知ることが、我々のアイデンティティ(存在証明)になる。

○なぜ読もうと思ったか
日本とは何か、日本人とは何か、ということを知りたくて。

○印象に残った部分(要約→感想)
・西洋と東洋の自然に対する考え方の違い
俳句は、自然の情景を歌うことで自分を自然に仮託して自分の心境を表すことが「作法」。
目の前の風景を詠むことで、その中に自分というものを溶け込ませている。
無。「私」を強調しない。
西洋の場合は、自然や動物と異なる人間の特性とは何かということを追求する考え方。
その違いは風土の違いから生じている。

大和言葉、漢字(漢語)、外来語
大和言葉とは、大陸から漢字が入ってくる以前から日本にあった言葉。
文字を持たなかったため、大和言葉の表記に漢字を導入。

→俳句、万葉集(和歌)に使われた表現、大和言葉を知ることで、日本の風土に根ざした言葉を味わうことができるような気がする。大和言葉で、自然の情景とか表現できるようになりたいなあ。

・"柔らかさ、「軽さ」といったほうがいいような、変化に柔軟に対応していく力が日本人の真骨頂"
→大陸から、仏教(宗教)・漢字(言語)・儒教(思想)、西欧から文明を取り入れてきた日本。
それでも、日本人の多くは、山にも木にも石にも神様がいる、八百万の神という考え方は説明されなくてもわかるし、むかしに詠まれた和歌を読めば、まあ多少の現代語訳には頼っても、その頃の心情や風景を想像することができるし、江戸時代から続く芸能は明治維新の波にのまれながらも続いている。
どこの国のものでも、「良い」と思ったものは残る。
むかしから続く伝統だから残さなくてはいけない。
古いものだから保護しなければならない。
日本固有のものだから価値がある。
そういう考え方にこだわる必要はない、そもそも日本固有のものって?伝統って?辿ってみたら、わかる。
日本人だからどう、日本人じゃないからどう、という分け方はナンセンスだということがわかる。

私は、「日本」「日本人」とは何かということを知りたいと思っていた。
海外に行って、自分は「日本人」である、ということを思い知らされ、海外から多くの外国人が日本を訪れ、「日本らしさ」とは何か、ということを考えさせられてきた。

一時期は、周りを見渡せば鉄筋コンクリートで囲われ自然と隔離された居住スペースに、ちゃぶ台ではなくテーブルとイス、畳ではなくフローリング、障子ではなくカーテン、襖ではなくドア、食卓に並ぶのは白米と味噌汁ではなくパンとスープ、「民族衣装を着られないのは日本人くらいだ、恥ずかしい」という人の考え方に同調し、自分は何者なのか、日本人とは何者なのか、今に生きる自分が、過去から続く日本と切り離されたような、地に足がついていないような、根っこがない木のような、不安と絶望を感じた時もあった。
だから、本を読んだり歌舞伎を観たり着物を着たり古い建物や歴史のある場所、島や山間部など日本の様々な地域を訪れて、答えを見つけようとしてきた。

どの経験から何を学んだか、という明確なことは答えられない。
けれども、大学生の頃から、おそらく19歳くらいから、思い悩んでいたことに、約8年の歳月を経て、考えすぎだよ、もっと気楽に考えたら、と思えるようになったということは、明確に答えられる。

その上で、木と紙でできた家に住みたいと思うし、好きな食べ物は?に味噌汁と答えるのは変わらないし、その土地で取れたものをその土地で味わうことが一番の贅沢だと思うし、その土地ならではの手仕事たとえば織物や木を編んだカゴ、土で作った器や草木で染めたものなどは本当に美しいと思うし、それらに囲まれて暮らしたいと思うし、歌舞伎は面白いと思うし、むかしの人が詠んだ和歌を味わいたいと思う。

この本を読んで、改めてそう思った。

心もからだもかるく。

こだわるけど、こだわらない。

そういう人にわたしはなりたい。