むだなものを愛しつづけられる人間でありたい

たとえば誰かに手紙を書くように、何気ない出来事を綴るとしたら。

吉例顔見世大歌舞伎

歌舞伎観てきました。
ワンピースではなく、通常の歌舞伎。

今回、席を取ったのが遅かったので、西の席。3階。

ワンピースの歌舞伎を2回観ていたので、いろいろと比べてしまいましたが、まず客層が違いますよね。年齢層高い。そしてお着物が多い。そして、やはりテンポが違いますね。

もちろん、ワンピースの歌舞伎にはそれの、通常の歌舞伎(という表現が正しいのかはわかりませんが、いまはこう表現します)にはそれの、それぞれの良さや魅力があると思いますが、ワンピース歌舞伎を観て、通常の歌舞伎も観てみよう!と思った人には、物足りなさを感じるのかな~と思ったりもしました。

まあ、通常の歌舞伎にも、演目や役者などによって違いますけどね。

そんな通常の歌舞伎、わたしはすきです。

さて今回の演目は、

一、源平布引滝 実盛物語 (げんぺいぬのびきのたき さねもりものがたり)
二、若き日の信長
三、曽我綉侠御所染 御所五郎蔵 (そがもようたてしのごしょぞめ ごしょごろうぞう)

の三つ。

***

一、源平布引滝 実盛物語 (げんぺいぬのびきのたき さねもりものがたり)
木曽義仲の誕生にまつわる逸話を題材にした「源平布引滝」。
全五段の三段目にあたる「実盛物語」。

<おはなし>
時は平治の乱の後。
平氏vs源氏の構図ですが、平氏>源氏。
平氏の大将は、あの平清盛
そんな平氏をこころよく思っていないのが、後白河院
後白河院平清盛に対抗するべく、
源義朝の弟の木曽義賢(きそよしたか)に、源氏の旗を送ります。
「源氏、負けてんじゃねえよ!しっかりしろよ!」というメッセージを込めて。
その情報はもちろん、平清盛の耳に入り、清盛さん激怒。
清盛さん「木曽義賢(きそよしたか)を討て!」

狙われる木曽義賢(きそよしたか)。
妻である葵御前(演:中村児太郎)は、妊娠中。
妻を安全な場所へ。ということで、近江国(今の滋賀県)の百姓の九郎助(演:片岡松之助)に託します。
そして後白河院から送られた白旗は、九郎助の娘の小万(演:片岡秀太郎)に預け、木曽義賢(きそよしたか)は壮絶な最期を遂げます。

場面は九郎助の家。
ここには葵御前が匿われています。
木曽義賢(きそよしたか)が死んだことはまだ知りません。
葵御前のお産がうまくいくように、九郎助は孫の太郎吉を連れて、鯛を釣りに出かけ帰ってきました。
ところがなんと、釣れたのは、鯛ではなく、白旗を握った女の人の手でした。
この時、小万は行方知れず。
まさか、この手は小万のものではないか…そう察する九郎助。

そこへ、平家方の武将である斎藤実盛(演:市川染五郎)、瀬尾(演:中村亀鶴)がやってきます。
ここに葵御前が匿われているという情報をききつけ、検めにきたのです。

葵御前を出せ、という瀬尾。
身ごもっておりますので、せめて無事に出産をさせてくださいませ、と懇願する九郎助。
では、産まれてくる子が女の子ならよいが、男の子ならその場でなきものにする、という瀬尾。

そこに、葵御前が出産した!と、産んだ赤子をくるんででてくる九郎助の妻の小よし。
では男の子かどうか確かめよう、という実盛。
包みをひらいてびっくり。
そこにあったのは赤子ではなく、女の手でした。
実は実盛は、今は平家方の武将としてきていますが、むかし源氏に助けられた恩があるため、この危機をどうにかしてうまくやりすごしたいと思っているのです。
そこで実盛は、むかし、唐土の后が鉄の玉を産んだ故事を引き合いにして、手が産まれることもありますよ!きっと!と、疑う瀬尾をうまくまるめこもうとします。

瀬尾は疑いつつ、立ち去るふりをして物陰へと姿を隠して様子をうかがうことにします。

瀬尾がいなくなり、葵御前は実盛に向かって感謝を伝えます。
そこで実盛は、ここにある片腕が、琵琶湖上で自らが切り落とした女性のものであろうと思い、そのときの様子を話し始めます。

実盛は琵琶湖上を船で渡っているとき、湖を泳いで渡ろとしている小万という女性を救います。
しかし彼女が持っていた源氏の白旗が平家方に渡ることを憂慮した実盛は、小万の片腕を切り落としてします。

その話を聞いた九郎助は嘆き、太郎吉は母の仇と言って実盛に立ち向かおうとします。
そこへ、村の漁師たちが小万の遺骸を運んできます。
その遺骸をみて悲しみに暮れる人々。
実盛は、白旗を放すまいとする小万の一念が片腕にこもっているであろうと推測し、片腕を遺骸に繋げました。

すると腕がつながった小万は息を吹き返し、白旗が無事に葵御前の元に渡ったことを知り安堵すると、再び息をひきとりました。

この様子を見ていた九郎助は、小万は実の娘ではなく、堅田の浦に捨てられていた平家に縁のあるものであると明かします。

そのとき葵御前が産気づき、男の子が産まれます。
実盛はその子を駒王丸と名付け、太郎吉を手塚太郎光盛と名乗らせ、
駒王丸に仕えるようにと進言します。

これに対し、駒王丸の母、葵御前は、成人して手柄を立てたら召し抱えようと言います。

そこへ、物陰で様子をうかがっていた瀬尾が現れ、若君を渡せと詰め寄り、小万の死骸を足で蹴りました。

母の死骸を蹴られた太郎吉は怒り、短刀を抜いて瀬尾に向かっていきます。
すると瀬尾は太郎吉の手を持ち、自らの脇腹を突き刺したのです。
実は、小万の実の父は瀬尾。つまり太郎吉は瀬尾の孫にあたります。
自らの命と引きかえに孫の太郎吉に手柄を取らせ、その功をもって、駒王丸に仕えさせようと考えたのです。

こうして、晴れて駒王丸の家来となった太郎吉は、母の仇といって実盛に詰め寄ります。
これに対して実盛は、太郎吉が成人したら潔く討たれようと告げ、その場をあとにしたのです。

お話はこれで終わりですが、物語には続きがあります。
太郎吉が成人したのち、富士川の戦いで、髪を黒く染めた実盛は、潔く太郎吉に討ち取られるのです。

<感想>
馬がすごい。
人間が馬になるのですが、しっかりしていて安定感抜群。
小万の実の父、瀬尾の愛というか、太郎吉に対する思いやりというか、すごい。
実の孫のためになら、自分の命を捧げられるものなのでしょうか。

***

二、若き日の信長
本作は、1952年に歌舞伎座で初演されました。
作者は大佛次郎

<おはなし>
時は戦国時代も初期。
尾張国を治める織田家の菩提寺の近くの丘。
今日は、信長の父織田信秀の三回忌の法要が営まれている。
信長(演:市川海老蔵)は形式だけの法要が気に入らず、参列せずに村の子どもたちと戯れていた。
そこへ、今川側の間者が旅僧の格好をして現れる。
間者は、目の前にいる若者が最初は信長だとは気づかず会話をしていたが、次第に気づきはじめ、信長の眼力に気圧されその場を去っていく。
このとき信長は旅僧が今川側の間者だとすでに気づいていた。
一方、信長の教育係のような存在の平手中務政秀(演:市川左團次)は、信長の態度を何度も諫めたが信長はきかず、こうなったら死をもってして諫めるしかないと覚悟を決める。
三人の息子を前に、信長に宛てた遺書を書いている。
そこへ、信長がやってくる。
中務は、信長と会っては未練が残ると思い、信長には会わずに対応を弥生(山口左馬之助の娘、信長に恋心を抱いている)に任せる。
信長と弥生はたわいもない話をし、信長はその場を後にする。
そのとき、奥でただならぬ気配を感じる。
襖をあけると、そこにはすでに切腹して果てた中務の姿があった。
すぐに信長を呼び寄せる弥生。
お互いの思いを理解しあえぬまま死を選んだ中務を無念がる信長。
そこへ家臣がやってきて、山口左馬之助父子が今川方に寝返ったと知らせをうける。
見せしめに山口左馬之助の娘である弥生を成敗せよとの進言を退け、信長は覚悟を決める。

今川側が大軍を率いて尾張に攻め込んできたため、織田側では寝返るものが続出。
籠城を勧める家臣の言葉を退け、そこへ藤吉郎(演:尾上松緑)が酒をもってやってくる。
すると信長は、まるで目の前に中務がいるかのように、酒を飲み始める。
そこへ弥生がやってきて、父を説得するため今川側へ使者として差し向けてほしいと願い出る。
それに対し、これ以上寝返るものが出ては困るので、山口左馬之助を討ったと告げた信長は、桶狭間へ出陣することを決意し、弥生に鼓を打たせ、自身が好む「敦盛」の舞を舞い始めるのであった。

<感想>
海老蔵=信長、かっこよかったです。
中車の藤吉郎も見てみたかったですね~。
弥生は若いのかな。
着物と帯の柄と結び方が若い印象だったので。
娘役だからかな。
白塗りとそうじゃない人の違いって何かあるのでしょうか。
身分とか。
それとも単純にメイクの違い?

信長を諫めるために切腹した中務。
ここでもまた、誰かのために自ら死を選ぶ人。
これが美徳だったのでしょうか。
誰かのために、死ねますか?
むりだな~。

***

三、曽我綉侠御所染 御所五郎蔵 (そがもようたてしのごしょぞめ ごしょごろうぞう)
阿竹黙阿弥作。

<おはなし>
舞台は京都。
主な登場人物は、
〇御所五郎蔵(演:尾上菊五郎):元は陸奥国の大名に仕えていたが、侍女の皐月との恋仲を、皐月を恋い慕う星影土右衛門にしられて不義の罪を問われ、国許を追放される。こうして町人となった御所五郎蔵は、皐月とともに都へむかう。
〇星影土右衛門(演:市川左團次):わけあって追放の身となったが、皐月のことが忘れられず、後を追って都を目指す。
〇皐月(演:中村魁春):上洛し、傾城=遊女に。お客さんとして星影土右衛門が通っている。
〇逢州(演:片岡孝太郎):傾城=遊女。陸奥国の大名が入れ揚げた遊女。

※皐月を巡る恋のお話、といったところでしょうか。

都でばったり、御所五郎蔵と星影土右衛門はでくわす。お互いの子分が言い争いをしていたが、お互いの顔を見たとたん険悪な雰囲気に。
一触即発のところで甲屋の主人が間に入り、その場はなんとかおさまった。
場面は変わり、ここは遊郭
陸奥国の大名が上洛しているが、傾城の逢州に入れ揚げ、二百両の支払いが滞っていた。そのため、旧主のために御所五郎蔵は何とか資金を集めようと、妻の皐月に工面を頼んでいた。
しかし皐月には馴染みの客がおらず、集められないままとうとう支払の期限の日となってしまった。
途方に暮れている皐月のところに、星影土右衛門がやってくる。
事情を知った星影土右衛門は、御所五郎蔵への去り状を書く代わりに二百両を貸すと申し出る。皐月は拒絶したが、旧主思いの御所五郎蔵は、工面できなかったときは生きてはいまいと語ると、その言葉を聞いて皐月は星影土右衛門に従うことを決意する。
そこに支払の催促に来た花形屋吾助とともに御所五郎蔵がやってくると、皐月は去り状を渡す。そして愛想尽かしをしたうえで、二百両を御所五郎蔵に渡す。
これに御所五郎蔵が怒りを爆発させるところへ逢州がやってくる。
旧主が寵愛する逢州のことを主人同然と思う御所五郎蔵は、逢州の言葉で怒りを鎮め、金を受け取らずにその場を去っていく。
星影土右衛門は皐月の身請けをするため、花形屋へ皐月を伴って出かけようとするが、皐月は気分がすぐれないのであとからいくと申し出る。
しかし星影土右衛門は皐月の心を疑って承諾しない。
そこで逢州が、皐月の打掛を羽織って一緒にでかけたなら、星影土右衛門の顔も立つだろうと提案し、星影土右衛門も納得して席を立つ。
皐月はこっそり逢州に二百両を手渡し、逢州から五郎蔵に渡してもらうように計らう。
一方、皐月の愛想尽かしを真実だと思った五郎蔵は、皐月と星影土右衛門を待ち伏せる。
そこへ、皐月の打掛を羽織って行燈を持った逢州が星影土右衛門とやってくる。
これを皐月だと思った五郎蔵は、逢州を手にかけたあと、皐月ではなく逢州だと気づき驚愕する。
そこへ、身を潜めていた星影土右衛門が現れ、ふたりは剣を交わせる。

<感想>
すごいどろどろ。
離縁状を渡されて散々言われたからって、殺そうと思うものなのでしょうか。
愛憎は表裏一体ということか。
それにしても、遊女の衣装はきらびやかですね。

*****

やっぱり歌舞伎はおもしろいですね。
歴史の勉強にもなるし。

2015年最後の歌舞伎かな。

1/15「新春歌舞伎」浅草公会堂 にはじまり、
7/25「七月大歌舞伎」歌舞伎座 では2列目とっていただき、
9/16「秀山祭九月大歌舞伎」歌舞伎座 は3等席。染五郎さん美しかった~。 
10/27「スーパー歌舞伎Ⅱ ONE PIECE新橋演舞場 2列目!大迫力!
11/10「スーパー歌舞伎Ⅱ ONE PIECE新橋演舞場 リピート!巳之助さ~ん!
11/17「吉例顔見世大歌舞伎」歌舞伎座 今回

の、2015年でした。

2016年もたのしみですね。

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